最近の研究で、“内臓脂肪”が脳の構造や働きまでに、影響を与えている可能性が示されました。
この研究は「Nature mental health」に掲載されました。
BMIだけではどこに脂肪がついているかわからない
肥満や健康リスクを考えるとき、よく使われるのは BMI(身長と体重の比率で出す数値)ですよね。
しかしBMI では、その人の脂肪が「どこにたまっているか」は分かりません。
たとえば、
・腕や脚に脂肪がつきやすい人
・皮下脂肪メインの人
・お腹(内臓まわり)に脂肪がたまる人
…この「脂肪の位置の差」が、病気のリスクに大きく関わる、という指摘がここ数年で強まってきました。特に “お腹まわり=内臓脂肪” は、心血管疾患・糖尿病などとも関係すると言われています。
それなら―― 脳の健康にも「脂肪の付き方」が関係あるのでは? という発想から、この研究が行われました。
大規模データで脂肪と脳の状態を“丸ごと”調べた
この研究がすごいのはデータ数。なんと約 2万人分 😮
- 対象は中年〜高齢に近い一般成人。
- まず体の脂肪を、腕・脚・胴体の皮下脂肪・お腹(内臓脂肪)――という4つの「部位別」に分けて、MRIなどの画像で測定。
- さらに脳も MRI でスキャン。
脳のチェックポイントは以下の通り。
① 脳の“形”(皮質の厚みや体積など)
② 白質(神経の“配線”部分)の質や密度
③ いくつもの脳ネットワークどうしが「どれくらい連携しているか」
そして―― 最終的に AI を使って「この人の脳は、実年齢より“若いか” または“老けているか”」を判定する “脳年齢ギャップ(BAG)” を算出しました。
結果は――内臓脂肪が多い人ほど、脳が“老け”ていた
結果は以下の通り。内臓脂肪は脳にも悪い影響がありそうです…。
- 内臓脂肪が多い人ほど、脳が縮みがちとのこと。前頭葉あたりの体積が小さくなりやすかったみたいです。
- 白質(脳の “配線” 部分)も、質や密度が下がる傾向。神経線維が“スカスカ”になったような変化。
- 脳ネットワーク同士の連携も乱れやすく、脳全体の情報処理のスムーズさが落ちる可能性。
- その結果、「脳年齢ギャップ」が上がる、つまり、実年齢よりも脳が年をとっている、という人が多かったのです。
一方で、腕や脚に脂肪がつきやすい人では、ほとんどこのような傾向は見られませんでした。
内臓脂肪は脳にも影響する
体重だけ見て「大丈夫」と思っていても、内臓脂肪がひそかに増えているかもしれません。
この研究では、脂肪の付き方が心血管疾患・糖尿病だけでなく脳の健康に影響すると示唆しました。
私も脳を若く保つために、
「軽く運動をする」「食事のバランスに気をつける」などを、意識してみようと思います。
では。



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