最近、「眠りが浅い」「寝た気がしない」と感じる人へ
夜勤、スマホの光、ストレス――現代では睡眠の質が昔より落ちている人が増えていそうです。
眠っているはずなのに、なんとなく頭がすっきりしない。そんなモヤモヤを抱える人も多いでしょう。
今回の研究は、そんな人にちょっと耳の痛い結果をお伝えします。
睡眠の質が悪い人は、脳の実年齢に比べて老けている可能性があるという報告です。記事の原文はこちら。
研究の概要
この研究は英国の大規模コホートデータ(約 2万7500人)を使用。参加者の平均年齢は約 55 歳、男女比はほぼ半々。研究チームは以下の項目で「睡眠の健康度」を評価し、スコア化しています。
- 就寝・起床時間(早起き・朝型か)
- 睡眠時間
- 不眠の有無
- いびきの有無
- 日中の過度な眠気
これらをもとに睡眠パターンを「良い」「中間」「悪い」の三つに分類。さらに、MRI画像を機械学習で解析し、個人ごとの「脳年齢(見た目の脳の年齢)」を推定しました。年齢や性別、教育歴、社会経済的背景、生活習慣、持病などを統計的に補正したうえで、睡眠パターンと脳年齢の関係を検討しています。
結果:睡眠の質が下がると、脳が老化する
結果は、脳年齢と実年齢の差(BAG:Brain Age Gap)が大きくなる傾向が確認されました。
具体的には、スコアが1点下がるごとに、脳年齢は平均で +0.48年。睡眠パターンが「良好」「中間」「不良」の順に悪化するにつれて、脳年齢ギャップは約 +0.6〜1年にまで拡大しました。
また、こうした関係の一部は体内の慢性的な軽度炎症(low-grade inflammation)が仲介している可能性があると、著者らは指摘しています。つまり、睡眠の乱れが体の炎症を高め、それが脳の老化につながるかもしれない、ということらしい。
この研究にはいくつか留意点があります。まず、睡眠の評価はあくまで自己申告。主観的な報告に頼るため、実際の睡眠構造や質とはズレがある可能性があります。
また本研究は観察研究であり、「睡眠が悪い → 脳が老ける」という因果関係を証明するものではありません。
さらに、今回の参加者は英国の中高年が中心で、これが他の国や若年層にそのまま当てはまるとは言い切れないでしょう。
私たちが暮らしの中で気をつけられること
とはいえ、睡眠の改善は少しだけ意識することで日常に取り入れやすい習慣です。たとえば次のような工夫なら、取り組みやすいと思います。
- 就寝・起床時間をなるべく一定に保つ
- 寝る直前のスマホや画面を控え、寝室の明るさ・静けさを整える
- 睡眠時間を確保する(目安として 7〜8 時間)
- 飲酒・カフェイン・重たい食事は就寝前に避ける
- 日中の眠気・いびき・不眠など、気になることがあれば専門家に相談する
あなたも少し意識を向けるだけで可能なことばかりではないでしょうか。
今日の夜から、快適な睡眠を目指してみませんか。



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