論文探しが10倍速くなる!ChatGPT×PubMed検索式の作り方

生成AI

【はじめに】PubMed検索に疲弊していませんか?

「PubMedで検索しても、欲しい論文が全然見つからない」
「似たような論文ばかり出てきて、どれを読めばいいのかわからない」
そんな経験、ありませんか?

多忙な臨床業務の合間を縫って、リサーチや症例報告の準備を進める――医師にとって時間は最大の資源です。
にもかかわらず、PubMedの検索に1〜2時間かけてしまうことも少なくありません。私自身、専攻医としての忙しい毎日の中で、検索式の作成に時間を取られるのが大きな悩みでした。

とはいえ、PubMedは医学文献を調べるうえで欠かせない存在。検索式を雑に済ませると、欲しい論文にたどりつけなかったり、膨大な検索結果から目的に合う論文を探し出すのに時間がかかったりして、情報収集そのものが非効率になります

そんな中で私が出会ったのが、ChatGPTを活用した検索式の自動作成という手法でした。今回はこの方法について、医師目線で具体的に解説していきます。

【結論】ChatGPTを使えばPubMed検索が劇的に効率化する

PubMedの検索式作成は、ChatGPTに任せることで10倍速くなります

ChatGPTの強みは以下のとおりです:

  • 日本語で質問してもMeSH(医学件名)を用いた正確な検索式を英語で自動生成してくれる
  • AND/OR/NOTなどのブール演算子、検索フィールド([MeSH Terms]や[Title/Abstract]など)を的確に組み合わせてくれる
  • 検索の目的や対象期間・研究デザインに応じた複数パターンの検索式を提案してくれる

つまり、医学的なキーワードと検索意図を日本語でざっくり伝えるだけで、PubMedにそのまま貼り付けられる検索式が手に入るというわけです。

【なぜ効率化できるのか】ChatGPTの強みを医師目線で解説

PubMedで効果的な検索を行うには、以下のような要素を含んだ検索式を組み立てる必要があります:

  • 正確なMeSHの使用(例:”Heart Failure”、”SGLT2 Inhibitors”など)
  • 複数語の統合(OR)と絞り込み(AND)による構造
  • [Title/Abstract]指定やPublication Typeの制限
  • ヒト・動物の絞り込み、期間・年齢・性別などの設定

これらを手作業で調べて組み合わせるのは非常に時間がかかるうえ、英語での表現や文法ミスによって精度が落ちることもあります。

ChatGPTを活用すれば、検索テーマに最適なMeSHを選定し、検索式として自動構築してくれます。自分でブール演算子を組む必要もありません。

また、修正や改善も非常に簡単です。「もっと包括的に調べたい」「特定の病態に絞りたい」など、条件をChatGPTに伝えるだけで検索式をすぐにアップデート可能です。

【実例】実際に使えるプロンプトとChatGPTの出力例

ここからは、実際に私が使っているプロンプトとその出力例を紹介します。


例1. 心不全とSGLT2阻害薬の関連文献を探す

プロンプト:

PubMedで「心不全」と「SGLT2阻害薬」に関する文献を検索したいです。MeSHを使って検索式を作成してください。対象はヒト、臨床研究、過去5年間に限定してください。

ChatGPTの出力:

("Heart Failure"[MeSH Terms] OR "Heart Failure"[Title/Abstract]) AND  
("Sodium-Glucose Transporter 2 Inhibitors"[MeSH Terms] OR "SGLT2 inhibitors"[Title/Abstract]) AND
("humans"[MeSH Terms]) AND
("clinical trial"[Publication Type]) AND
("2019/01/01"[PDAT] : "2024/12/31"[PDAT])

このままPubMedに貼り付ければ、条件に合った文献を高精度で抽出できます。


例2. まずMeSHの候補をChatGPTに聞く

プロンプト:

心不全に関連するMeSHを、病態、治療薬、分類の3つのカテゴリに分けて教えてください。

ChatGPTの出力例:

  • 病態:”Heart Failure”, “Ventricular Dysfunction, Left”
  • 治療薬:”Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors”, “SGLT2 Inhibitors”
  • 分類:”Heart Failure, Systolic”, “Heart Failure, Diastolic”

→ このようにカテゴリ別で提示させてから検索式を作ると、目的に沿った精度の高い検索が可能になります。


例3. 日本語プロンプトでもOK

プロンプト:

糖尿病と心血管イベントの関連を調べたいです。PubMedの検索式を作ってください。

→ ChatGPTは自動で適切な英語検索式を提案してくれます。英語に自信がない方でも安心して活用できます。

【注意点】ChatGPT活用時の注意点も忘れずに

便利なChatGPTですが、出力された検索式をそのまま鵜呑みにしない姿勢も大切です。以下のような注意点を意識しましょう:

  • MeSHが最新版でない場合もあるので、PubMedのMeSHブラウザで確認すると安心
  • ORとANDの構造が複雑になりすぎていないか、カッコの構造をチェック
  • 検索式の意図が自分の目的に合っているか再確認する

ChatGPTは強力なアシスタントですが、最終判断は自分自身が行うというスタンスが重要です。


【まとめ】ChatGPT×PubMedで論文検索のストレスをゼロに

PubMed検索のスピードと精度は、研究や勉強の生産性を大きく左右します。
ChatGPTを活用すれば、今まで1時間以上かかっていた検索式作成が、わずか数分で完成します。

「調べものに時間がかかりすぎる」「MeSHの使い方がよくわからない」と悩んでいた方には、まさに革命的な時短術になるはずです。

【あとがき】

このブログでは、医師のための実践的なAI活用法を定期的に発信しています。
「明日から使える医師のAI術」をテーマに、臨床・研究・教育の時短ノウハウをわかりやすく紹介していきます。

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