京都大学で農業研究者として活躍中で、子育てについての発信も行う篠原 信(しのはら まこと)さんの著書『子どもの地頭とやる気が育つおもしろい方法』(朝日新聞出版)を読み、「自分から勉強する子」に育てる方法について感じたことを考察してみます。
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はじめに
「勉強しなさい!」と口を酸っぱくして言い続けるのに、子どもはなかなか机に向かおうとしない――そんな経験を持つ親は多いのではないでしょうか。一方で、親が特に何も言わなくても、自分から進んで勉強する子どももいます。この違いは一体どこから生まれるのでしょうか。
多くの親は「うちの子は勉強が嫌いだから」と諦めがちですが、実は「自分から勉強する子」には共通した特徴があり、それは生まれつきの才能ではなく、周囲の関わり方や環境によって大きく左右されるのです。
本記事では、自主的に学ぶ子どもの特徴を掘り下げるとともに、親がどのように関わることで、子どもが自然と学びたくなる環境を作れるのかを解説していきます。
自分から勉強する子の特徴とは?
親なら誰しも、子どもには親が何も言わなくても自主的に勉強に取り組んでほしいと願うことと思います。「うちの子には到底ムリ!」なんて声も聞こえてきそうです。しかし、自分から勉強する子どもには、生まれつきではなく、親や周りの関わり方に影響される以下のような共通した特徴があります。
- 好奇心が強い:新しいことに興味を持ち、自分で調べようとする。
- 目標意識がある:勉強をする理由を理解し、目的意識を持っている。
- 学習習慣が身についている:毎日のルーティンとして自然に勉強に取り組める。
- 失敗を恐れず挑戦できる:間違えても学びの機会と捉え、努力を続ける。
これらの特徴は生まれつきのものではなく、親の関わり方や育て方によって大きく左右されます。
勉強する子としない子の違い|親の関わり方がカギ
自分から勉強する子としない子の違いはどこにあるのでしょうか。私は、親の関わり方が大きいと思っています。あなたはどちらに当てはまるでしょうか?
- 勉強する子の親がしていること:
- 学びを楽しいものとして親自身が捉え、親自らも日頃から学ぶ姿勢を見せている。
- 「勉強しなさい」と言わず、「学ぶ」=「知識が増えて楽しい」と思う習慣を自然に身につけさせる。
- 結果ではなく、努力や工夫を認める声かけをする。
- 勉強しない子の親がしてしまいがちなこと:
- テストの点数だけを評価し、プロセスを軽視する。
- 「勉強しなさい」と強制することで、学びを義務として捉えさせる。
- 子ども自身の興味や好奇心を無視し、親の価値観を押しつける。
いかがでしょうか。親自身が学ぶことが楽しいという姿勢を見せていないにも関わらず、「勉強しなさい」と言っても反発されるだけです。仮に子どもが勉強を始めたとしても、親の気を鎮めるために勉強を始めただけで、ちっとも身に入らないことでしょう。
テストの結果に過剰に親が反応するのもNG行為です。テストの結果が良ければ上機嫌になり子どもを褒め、悪ければあからさまに不機嫌になると、子どもは親の機嫌のために勉強するようになります。親という他人のために行動しようとすると、不思議と子どもは全く勉強が手につかなくなります。自分から勉強するためには、自らの知識を増やすことや学ぶことの喜びを知り、親のためでなく、自分のために勉強することが大切なのです。
「ほっといても勉強する子」はどう育つのか
「ほっといても勉強する子」は、実際には「ほっとかれている」のではなく、幼少期から学ぶ楽しさを経験し、習慣化できた子どもです。学生になって親が「勉強しなさい」と言わなくても勉強するかは、自ら学びたくなる環境を幼少期から作れていたかが重要です。
子どもは幼少期から、数々の質問を親に投げかけます。
「なんで空は青いの?」
「今日はどこに行くの?」
「なんで鳥は飛べるの?」
しょうもない質問から、科学的に説明が難しい質問まで、すべての質問に真摯に向き合い、疑問に感じたことを褒め、親が子どもと一緒になって考えることが、学ぶ楽しさを教える第1歩と考えます。
家事や仕事が忙しく、「あとにして」と冷たくあしらったことはないでしょうか?その度に、子どもが疑問を感じて考え、自ら学ぼうとする機会を失っていたのです。
親が子どもからの質問に完璧に答えられる必要はありません。大切なのは、まず疑問に感じたことを賞賛し、親が子どもと一緒になって考え、調べる姿勢を見せることです。
幼少期からこのような接し方をすることが理想的ではありますが、学生となった今でも遅くありません。今日が人生で一番若い日です。テストの結果よりも、子どもが持つささやかな疑問に親が関心を寄せる方が、自分から勉強する子に育つ一歩につながるのではないでしょうか。
まとめ
子どもが自主的に学ぶために、親として心がけるべきことをまとめます。
1.
子どもの疑問に耳を傾け、一緒に考える姿勢を持つ
2.
勉強を強制せず、学ぶことの楽しさを伝える
3.
努力や工夫を評価し、結果だけに注目しない
4.
親自身も学び続ける姿勢を見せる
このように、子どもが自分から勉強するようになるかどうかは、親の関わり方次第です。「勉強しなさい」と言うことよりも、子どもが学びを楽しめる環境を整えることが何よりも重要です。
本記事を参考に、子どもが学ぶことを自然と好きになれるような接し方を実践してみてください。そうすれば、子どもは自主的に勉強するだけでなく、一生ものの学ぶ力を身につけることでしょう。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう!
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